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  たわごと編: No.438  
  2017.12.11 核兵器禁止条約_希望表明では実効ない  
 
  日本政府が国連で出した核兵器廃絶決議案に対して核兵器禁止条約に署名した国のなかに日本の核兵器禁止条約への姿勢を批判して反対票を投じた国があって従来より賛成国が減ったということである。

それを聞いての感想だが、まず頭に浮かんだのは例えば麻薬のはなしである。いわゆる麻薬の所持と使用を法律で禁止し罰則を定めれば、警察などが取り締まり警戒をし違反したことが分かれば違反者を逮捕しその後裁判や処分がなされる。ところが国際的な条約や約束については、違反したからといって即それに対して対応がとられないことが多い。国連が制裁決議をしても従わなかったり実施するにしても内容が各国バラバラということもある。

条約や約束をどこが警戒取り締まりをし違反したらどうするのか、それを条約などの想定対象国や締結国の間で具体的対処手段・強制手段に合意していない限り、思惑の異なる国家間ではただのスローガンあるいは理想の表明にしかならない。正義ぶって理想を述べ反対運動はするが実際の理想実現の具体的・現実的プロセスを地道に進めることをしないナントカ反対運動と変わらない。私の核兵器禁止条約と聞いたときの感想はそんなところである。

誰でも核兵器廃絶した世界を求めることには賛成であると思われる。その理想を実現すべく核兵器禁止条約が作られたとは思われる。この条約は核兵器を保有せずその廃絶を目指す国が核兵器なき世界をこうして実現したいという内容であるが、核兵器国の意向やその安全保障を核兵器に依存する国などの状況は無視して廃絶に同意を迫る形になっているようである。

一方よく批判されるように、核不拡散条約(NPT)は核廃絶を目指す条約ではなく、核兵器国にその義務を課していない。しかしこの条約の下では核兵器国は核軍縮と核廃絶に向けた道筋・プロセスについては不十分ながら一定の合意はしていると見ることが出来る。核兵器保有国の一部に認識の違いはあるが、核軍縮は国際的な規範として確立している。そしてその規範は核兵器国と非核兵器国が共有する状況になっていたわけである。核兵器禁止条約はその流れを汲むかたちの発展形ならよかったという気がする。

今回の核兵器禁止条約では核廃絶のあり方は謳われているが、軍縮から廃絶に至るプロセスを明確に規定できていないようである。だから例えば日本が核兵器禁止条約に参加したら、アメリカからはなぜ核の拡大抑止を日本に提供しなければならないか、あるいは中国などからは核兵器禁止条約に参加しているのになぜ日本はアメリカの核の拡大抑止の恩恵を受けているのかという疑問にさらされる。そして拡大抑止の信頼性が大きく後退することになる。つまり現状では日本の安全保障が脅かされることになるわけである。そういう問題が発生しないような具体的プロセスを核兵器国と非核兵器国が共有する状況にならない限り、少なくとも日本では核兵器禁止条約はスローガンの域を出ないものと見るしかないのではないかと私は思っている。

補足: 
ICAN事務局長が来日、日本を批判
2018.01.17
ノーベル平和賞を受賞したICAN事務局長が来日したが安倍総理外遊中で面会できなかったらしい。それで騒いでいる日本の団体もあるらしい。またICAN事務局長は広島で講演した際日本は足踏み外したと核兵器禁止条約に反対したことを批判したとのことである。被爆国日本へ来て核兵器反対を唱えたからと言って核兵器がなくなるわけではない。まず北朝鮮の核兵器をなくす具体的行動を起こしたらどうかと思ってしまう。誰でも核兵器は望んでいない。核兵器反対を言うだけでは口先スローガンに終わる。他のひとや国家に核兵器廃絶の責任を押し付けるのではなく、自ら廃絶するための具体的行動をしてICANが核保有国の核兵器を廃絶させたと世界が認めればICANの存在価値はあるかも知れない。私は核兵器反対運動をしている被爆者がノーベル賞をもらうなら納得だが、現状ICANをリードしている連中が核兵器反対で生活しているように思え違和感がある。


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